木曜荘

ものかきの日記

2022/06/10

はげしい腹痛で深夜に目がさめた。毎年誕生日にはろくなことがないというジンクスがあるけど、今日はとても忙しい予定なので、この程度で勘弁してもらえると助かるが。なにかにあたったのだろうか、冷えたのか、辛いものばかり食べてるからかしら…。

 

昨日は仕事の前後の数時間を費やして、最終章の手直しをした。出勤前の手直しでは、既存のものを残したまま、添削をするような感じだったけれど、帰ってきてから、どうしても納得がいかず、白紙から書き直した。といっても半分ほどはそのまま移植された。もう半分は完全に書き直したので、また印刷して読んでみないといけない。今日と明日でなんとか完成させたい。入稿はいくらでも先延ばしにはできるけれど、もうここで決めてしまいたいという思いも強い。自分に締切をもうけるのは、ぼくの場合とてもいい結果につながることが多いので、なんとか達成できたらと思う。

 

とこんなふうに、仕事以外のすべての時間を本にかかわることに費やしている。仕事中はもちろん作業に集中しているけれど、頭のかたすみには常にある。痴か狂か、いずれかだろう。先週は休みをつぶして原稿代を稼ぎにいったので、いまは心身ともになかなかの不調。若い頃はひと月ほどは休みがなくてもがんばれたが、四十前のいまではこうもきついのかと、すこし笑えてくるほどにはつらい。とはいえ今日明日の辛抱だ。

仕事のあることはありがたいことだが、手伝い現場のおかげですでに8月まで予定が入っている。あがきがつかなくなるようなら、一度手伝いをやめるけれど、まだいけるまだいけると予定を入れていくうちに、かなりかさばってしまって、それが精神的な圧になっているようにも思う。けれど製本のためにどんどん稼いで行きたいし、あとはぼくの気力体力次第といったところだ。せいぜい破裂だけはしてしまわないように気をつけよう。

 

『蕾』もすこしずつ進んでいる。今の時点でぼくに掌編がふたつ、Sさんは詩をふたつ書き終えたらしい。締切はない、それは作家さんたちに自由にのびのびと書いてほしいからそうしたのだけれど、その恩恵をもっともうけているのは実はぼくだ。なんせ稼ぎが減ったものだから、資金がなかなか貯まらないのだ。これは笑うしかない。

印刷屋さんを口説いてなんとか費用をちいさくするか、あるいは他の安い印刷屋さんを探すかすればいいのだが、できれば『楠』『欅』の姿に近いものにできたらとも思うし、まあそれについては、まだ考える時間もある。

 

従兄の死から、すこし生き急いでいるようにも思われる。それは仕方のないことだし、じっさい、残された時間というのはやりたいことの割にすくないことは確かだ。日々意欲して前進しつづけることはいいことだが、それで破裂してしまってはやはり元も子もないので。『欅』の入稿が済んだら、一度ゆっくりと休もう。そのためにもこの三日間、全力で走る。