木曜荘

ものかきの日記

2022/07/31一葉記念館

休日。朝から食べすぎるくらい食べた。体重は増えたが、体の求めに応じて徹底的に食べてやった。体重は…明日からまた減るだろうから、まあよし。

事務を片付けて、玄関先で軽トラックの洗車、道具の手入れなどをする。汗だくになってしまい、昼前にシャワーを浴び、服を替えてそれから出かけた。

都電、いわゆるチンチン電車に乗るのははじめてだった。町屋から三ノ輪まで。出発するさいのチンチンという音はなんとも快く、童心をすこし思い出すような心地がした。

龍泉まで歩いていき、樋口一葉記念館を訪れた。事前に和田芳恵の『樋口一葉』を読んでいたので、新しい知識はとくに得られなかった。原稿や愛用の文机などもやけに奇麗だと思ってよく見てみると(複製)とあり、それはそうか、仕方ないな、と思いつつもやはりすこし残念ではあった。古びた全集にはすこし心惹かれたが、高価ではあるが買えないものでもないので、お金で買えないような精神的な価値は見いだせなかった。

ただ建物が清潔で閑静で、とてもいい記念館であることには違いない。「一葉箋」なる一筆箋をひとつ購入して外へ出た。

 

植え替えられたものとはいえ、植木屋のはしくれとしては吉原の見返り柳を見に行きたかったし、そこから入谷をめぐって上野、本郷あたりをぶらつきたかったところだが、出たのが遅くなったこともありおまけにひどい暑さのために諦めた。三ノ輪からバスに乗って曳舟のプチパリへ。

背中の鞄には『欅』を数冊。居合わせた数人のかたへお渡しした。冒頭を読み、「機関車のような出だしだ」というお声をさっそくいただいた。面白い感想だと思った。「シュッシュポッポがずっと続くとおもしくないけれど、あなたのはそこから飛んでいくのがよい」とのことだった。かなりいいように言ってくれてると感じるが、ありがたく頂戴しておいた。

書き終えないと、先には進めない。こうしてぼくはやっと「書き終えた」と感じることができた。先日も先生から、本が届いた旨ご連絡を頂戴した。そのときにもやはり、ああ、書き終えたのだ、やっとこの手から離れたのだな、とそう感じたものだった。

さて、ゆっくりと、次の一歩に踏み出そうと思う。何を書こうか。