木曜荘

ものかきの日記

2022/09/05

ちょっと忙しい。手伝いのほうを予定に入れ込みすぎた。おまけに今週は現場が横浜で、高速をつかっても往復二時間とすこし。惜しいと言うほどの時間でもないけど、つい惜しいと思ってしまう。仕事は近くでやるにこしたことはないと考えてしまう。とはいえ、手伝い先の人が運転をしてくれるのだから、文句は一切ない。やるだけ。

 

日曜の昨日は朝からずっと本を右から左へ、下から上へとなんだかよくわからない作業をしていた。なにをやっているんだろうと何度も思った。本の「整理」とは?と何度も頭をかしげた。捨てる、売るなどして、手放すということがなぜこうもむつかしいのか。古い文庫本でさえ、本にはいくらかの魔力が宿っているのだろうと思った。という言い訳をいま考えついた。

それでも、いくつかの本とはおさらばすることにした。昔読んで感銘を受けた、「自己啓発系」の本とかもう読むことはまずないだろうし。唯一「禁煙セラピー」だけは置いておくことにした…。読むのか。せめて読め。挑め。

あとはムックで買った漫画もいくつか。たまに無性に読み返したくなるんだけど、そんな時間も実際あまりないし、ちょっと「てこ」を入れるつもりで、自分なりには思い切ったつもり。単行本はほとんどだめ、手放せない。まあ、後悔するよりはいい…のか…わからないが。何の話だ。

 

疲れ切ってしまって昼寝。起きたら元気だったのでプチパリへ。いつもどおりお喋りをしていたら、植木屋仲間が二人来た。なんかカウンターでアブサン飲ませてもらって「くぁー」とか言っていた。仕事の場でしか会わない連中が、ぼくの「個人的な」空間にいるという不思議を見ていた。

落語や歌舞伎の話で、いろいろな気づきというか発見があったりした。志ん生が一番好きという同志(?)に出会えてよかった。芸事というのは、芸人の「人間」でやるものなのだよなという思いがさらに強くなった。自分だってそうだろうと思う。「文芸」だもの。

酔っ払いたちの流れで、そのまま押上文庫へ。行きたいと思っていたので口実にはちょうどよかった。今回は三種類の日本酒を飲んでみたけど「楽の世」がとくに気に入った。また呑みたいと思う。

弾かないというのに、酔った後輩が店主にピアノの演奏をおねだりし続けていて、こりゃしつこいなと思ったので、ぼくからジョン・ケージの「4分33秒」をお願いしたら、にやりと笑って「演奏」してくれた。わけをはなすと、ひとりは感心したようにしていたが、おねだり君は不服そうであった。ぼくはそれを見ながら、したり顔で旨い酒を呑んだ。

ふらふらの千鳥足になった後輩たちと別れて、のんきに帰宅。頭痛に悩まされつつ、強制的に電源を落とすようにしてなんとか就寝。

4分33秒の沈黙。そこにも「楽譜」はきっと存在するのだ、そう思いながら、ゆらゆらまわる頭のなかにもぐっていった。音楽は自分の身中にもある。おそらく詩もそこにある。