木曜荘

ものかきの日記

2022/11/18

今日は朝も暗いうちから車を走らせてまず市川へ。それから助手席に甘えて新宿へ。現場をひとつ終わらせて、午後代々木公園へ。驚くほどの大きな樹木の剪定現場。もう数週間そこにかかっていて、ぼくは今日がはじめての参加だったが、着いたころには最後の一本の剪定をしているところだった。

二台の高所作業車をめいっぱいに稼働して、十人前後が汗水ながして働いていた。長らく、こうした現場に入ってこなかった。この四年間、いろいろなことを経験し学んできたが、そのぶん遠ざかったしまったものも多くあることを再確認した。すこしずつ、感覚を取り戻していけたらと思う。焦らずに。

思わぬ再会もあった。ぼくが植木屋経験値のゼロだったころから、ぼくを育ててくれた厳しい親方と数年ぶりに会ったのだ。作業が終わってからも撤収のために慌ただしく、あまりゆっくりと話すこともできなかったが、いまの状況や今後のことなどについてお叱り(助言)をいただいた。元気よく、従業員を怒鳴っている姿は懐かしかった。

帰りはひとり、直帰。一時間とすこし。新宿、代々木公園から原宿の駅前やら、靖国神社やら、浅草駅前やらを通りながら、ちょっとした東京観光のようだなとすこし可笑しかった。

この頃、自分は運に恵まれているなと思うようになった。貧しく、精神の病をもち、なにひとつ誇れるものなど持っていないけれども、それでも、自分は幸運だなと思う。文筆の師に友、仕事の仲間、妻、大好きな人、それからねこ。恵まれている。心底そう思う。そしてそう思うと、なんだか少しだけ、今日が辛くてもほんの少しだけ、これまでより頑張れるような気がしている。それが気のせいでも一向にかまわない。