木曜荘

ものかきの日記

2023/02/06

今日はUR団地で、ひたすら剪定。主に落葉樹、エゴノキ、コナラ、ムクノキ、ハナミズキサルスベリ、モチノキなど。

樹勢の弱りつつあるエゴノキの枯れ枝にのこぎりをいれると、ボロっともろく崩れて折れた。枝の芯に穴が空いていて、なんだろうと覗き込むとかわいいお尻が見えた。熊んばちだった。

かわいい住居に風穴をあけてしまった。困ってしまった。とりあえず見栄えが悪いので、枯れ枝の残りを切除すると、その拍子に中からぽろりとこぼれ落ちてしまった。すると堰を切ったようにぽろり、またぽろりと、次々に熊んばちがこぼれおちてきた。

寒さに動けず、きっとこの蜂たちは死んでしまうだろう。ひどいことをしてしまった。熊んばちはたしか親子で越冬するはず。どれが親なのか、どれが子なのか、見た目にはわからなかったが。なんともいえぬ思いで地におちた蜂の親子をしばし見つめていた。

穴は15cmほど、まっすぐに掘り進められてあり、そこに順番にならんでいるようだった。家族仲良く、身を寄せ合って冬を越そうとしていたのだな、と、その温度を想像してみた。きっと暖かかったことだろう。

仕事を終えて、家に帰る。家がかわらずいつもの場所にあることにほっとする。そしてその幸運に感謝する思いだった。熊んばちの親子のことは、きっと明日には忘れるだろう。けれど、きっと折に触れて思い出したりもするのだろう。ぼくはぼくで、この家を守るために、今日も働き、学ぶのだ。

なにかの間違いでいいから、あの蜂たちがこの冬を越せることを祈る。

暦ではもう春だったか。まだまだ虫たちは眠っているが。