木曜荘

ものかきの日記

2022/10/15

書類鞄に、久しぶりに原稿をはさんだノートをいれて、朝早く出た。現場でのんびり他の連中の集まるのを待ちながら、ものを読んだり思ったりする時間が好きだからだ。けれど残念なことにすでにちらほら集まっており、ノートを開くことはなく、それぞれと世間話などした。

昼前に、今度任せられた現場を社長と見に行った。その行き帰りから昼休み中まで、ずっと今後のぼくらの関係について話をした。ぼくは店をたたんで、その会社に就職してもいい。数十の常連さんを捨てることにはなるが、もし社長がそれをのぞむのならそれでもいいとも思っている。代理店契約のなかに、やめるときにお客さんをとっていかないでね、といったような内容のものがあるが、積極的にそれをやらなくても、こちらに流れてきそうな常連さんは何人か思い当たる。それらはぜんぶ、動いたあとにしかわからない。動くときの材料にはならない。

どうしたものか。ひとりで考えてもしかたないので、昨日の日記にも書いた部長と三人でめしでも行きましょうと言っておいた。いろいろな角度からの意見がほしい。ゆっくり考えて、決めたら迷わず進めたい。

収入的には、いまの宙ぶらりんな状態がよい。自分の仕事は現場によって様々だが、儲けが出るときは出る。どかっとでる。勤めれば、そうはいかない。けれど大雨や大雪でも続かないかぎり(現場に出れた分だけは確実に)、収入は安定する。贅沢な暮らしを望んではいないので、それはそれでいい。

それから、自分の仕事は丸一日かかるような現場は少ない。なかには数日かかる現場もあるが、たいていは九時から十五時のあいだでおさまる。それが物足りなさを蓄積させる要因のひとつであるし、それが執筆や読書の時間の確保に必ずしも結びつくわけでもないので、いっそ毎日仕事に夢中になって、土曜よるから日曜に集中して創作に向き合うのもありだと思っている。現にかつてずっとそうやっていたわけだし。

とまあ、いろいろ考える材料が多い。まずは話をもっと聞かないといけない。

転機って、だいたいあとで気づくよなあ…ああ、あのときがそのときだったな、とかなんとか。