木曜荘

ものかきの日記

2022/11/19

今日も朝の暗いうちから、夕の暗くなるまで地べたに働いていた。完成までもうすこし。珍しく住職が作業中(よりによって今日唯一の休憩中)にやってきて、蘊蓄をたれていった。それで?と言いたくなる衝動をこらえているうちに可笑しくなった。

ぼくは坊主の多くが好きではないのです。金の話ばかりする仏教徒、そんなもの笑うしかないじゃないか。法事のたびにいろいろな宗派のいろいろな坊主を見てきたけど、この人はまともそうだなと思える人にはひとり、ふたりほどしか会っていない。そんなものなのだろうけれど、ぼくは日本(人)の宗教(観)というものを軽蔑しているふしがある。これは若い頃、カトリックにかけたぼくの経験からくるもの。裏切られたなんて言い方はしないけれど、若いぼくにはそれに近い失望感をうけたことがあったのだ。今となればどうでもいい話なのだけれど。

けれど「信仰」だけはいまも胸に残っている。ぼくの胸の中には神も仏もいない。ただ「母」という神のようなものがある。これは「お母さん」ではないし、特定の女性でもない。ただ「母」という感覚としか言えない。そういう思いを形に託したくて、聖セシリアのメダイを首からさげている。…どうでもいい話ですね。

自分を守ってくれる(と信じられる)ものは、ぼくの人生には必要だ。ぼくはぼくだけの力で生きていくことなどできないからだ。戒律もなく、教義もない宗教などないだろうから、これはぼくの宗教ではない、ただ、信仰なのだろうと思っている。

明日は休み。文学フリマへ行く予定。出店者側として朝から参加するのははじめて。楽しめるといい。