2022/10/09
久しぶりに二度寝をする。長い長い夢を見ていたので、疲れていたのだろう。
この頃、胸の内はゆたかに荒れている。言葉にあらわす必要を感じないのでほうっておくけれど、なかなか心地よい荒みっぷりだ。荒野に吹くといわれる風を感じる。塵の舞う。
雨や泥で汚れた軽トラックを磨く。道具を干し、道具箱を片づける。それだけのことでこころにもすこしの整理がつくような錯覚をおぼえる。車体についた無数のこまかい傷は、ぼくと一緒に働いてきた歴史で、それらはワックスでいかに磨いても、もう消えることはないのだった。ぼくの心身にある傷跡とおなじように。
乾く間もなかった地下足袋やゴム長を干す。壊れた鍵を直す。こころの錠前はほったらかしにしたまま、車の鍵は直すことができた。
出されることのない恋文を胸のなかにしたためる。ポストに投函したのは書類だけ。期限のうちに読むことのできなかった本を返しに図書館へ行く。涼しいが、ベストを着た胸のあたりは暑く、幾粒かの汗をシャツに吸わせていた。秋なのだなと思った。
昼からはなにもせず、何処にもいかず、寝たり覚めたりしていた。
そろそろと、書きたいおもいが募ってきている。きっかけは労働、熟成は恋、書き切るには魂の根気、ぼくの執筆の要素というものはそういうもののように思われる。誰にわからなくてもいい、自分だけの符牒のようなもの。
詩をさがしている。