木曜荘

ものかきの日記

2022/10/17

起きて、アリーシャーロックの歌声を聴きながら、ブラックのラテを飲みつつ、昨日の日記を書きはじめる。全身筋肉痛である。

雨は一日、降ったり止んだりを繰り返していた。砂の多い土壌は雨水を含んで重かった。そこを掘り起こしていくのが朝一番の仕事だった。昨夜飲んだ麦酒の酒精は、大量の汗になってすぐに流れていったように思われた。暑かった。

区画の半分ほど掘り進んで、一段低くなっているところを掘り始めると、水が湧いた。粘土層に当たったらしく、一切水がはけない。すぐにそこは池になった。最後に御影の五輪塔が立つ場所であり、その基礎には三尺をこえる御影石(重い!)を縦に建てて箱型に組むというとんでもない作業がある場所であったので、あまりの惨事に笑ってしまった。これでは建てられない。三匹の子豚だって、こんな場所には建てまい。

仕方無しに、池は放っておいて、そのまわりの作業を進めた。翌朝どうなっているか。おそらく予想通り、そこには池があるだろうと思う。元請けの設計士に見せる。どう対応するか話し合うらしい。どうするのやら。暗渠でも引くのかな。

社長が夕方前に現場に来た。状況を見て目を丸くしていた。池を見たこともそうだったが、それでも進んでいることに驚いた様子でもあった。工期は来月二十日までだが、本隊が忙しいために、こちらに人員を割けない。なので、ぼくと相棒である部長は、先二週間の日曜日をこちらの工事にあてることにした。先月お話した製本職人さんの言葉が脳裏をよぎった。日曜の休みがなくなることを嫌がるようじゃ職人にはなれない、そういった意味の言葉だった。仕事の終わったときが休みなのだ。

製本業への転職を考えるために(いや純粋に製本について伺いたかったのが一番だが)お話を伺ったあのときの楽しい会話は、いま植木屋の自分に還元されている。通底するものがあった。そのときの響きはいまもまだ手触りが残っている。

これを書き終えて、18日の朝五時半。日数がないので朝も早くやりたいね、ということになったので、そろそろ支度をして出発する。まだまだ仕事ばかりの日々が続きそうだが、隙間ですこしずつでも書けたらと思っている。

では行ってきます。