木曜荘

ものかきの日記

2022/10/18

いつもより一時間早く現場につく。

前日に水がわいてしまった箇所を点検する。水位はまったくかわっていない。こりゃだめだ、と思いつつ、バケツの水で干上がるまで水をしゃくる。それを何度か繰り返すが、そのたびにすぐに地下水が流れ込む。おかげですべての作業が止まった。こんな地盤に御影石をいくつも建てて、そのうえ五輪塔まで建てられるはずもない。元請けが現場にこれないというので、相棒が写真や動画を送り、電話する。一時撤収ということになった。用意した砕石やセメントも、昨日運び込んだ道具類もすべてもって置き場へ戻る。なんともむなしい午前となった。

午後は本隊に合流し、剪定や草刈り。相棒もぼくも活き活きと働いた。「仕事が進むっていいですね」と彼は言う。「そうだねえ」とぼくもこころから応える。実際捗ったほうだと思う。職長のお尻をやさしく叩きながら。

ぼくはもっぱら新人くんと行動をともにすることが多いので、教えられることはすべて教えている。はじめての桜の軽剪定、はじめての木斛の剪定、はじめての草刈り、と、あたりまえだがはじめてづくしの彼をみて、こちらも新鮮な空気を吸う思いだ。植木屋になったばかりのころの溢れるばかりの(実際あふれていた)向上心を思い出す。それを取り戻すことができるのかどうかはわからないけれど、思い出す。人にものを教えるということも学びのひとつなのだろう。さまざまなことをいま改めて学んでいる。

そのうえで、自分のできる範囲をさらにすこしずつ広げていこう、また、知っていることをさらに深めていこうと思うようになった。仕事は日々学びだと痛感している。

帰ってから夕食をもりもりと食べる。食欲の秋だからか、このごろやたらご飯を食べる。胃袋どうなっているんだと思うほど、食べても食べてもまだ食べられる。お腹周りがふくらんでいるので、本当に気をつけないといけない。食べた分だけ働けばいいともいえるが。