木曜荘

ものかきの日記

2023/01/02

晦日と元日をぼんやり過ごした分を取り戻すべく、今日は仕事のある日と同じ時間に起きた(二度寝したが)。

樹木医のテキスト・問題集から一度離れて、とっつきやすい書籍を一度洗ってみようと思い、その一冊目を昨日今日で読み終えた。

筋トレ同様、脳を一日動かしているのはそうとうきついものがある。途中で散歩をはさんだ。寒風に吹かれると生き返るようでとても心地よかった。お目当ての公園は三日まで閉園とのことで、用も足せずとんぼ帰り。本当はベンチに座って本の続きを読みたかったのだが。

街路樹のマンサク。これを見かける前に落葉のしくみを読んだところだったので、なんとかこれがマンサクだとわかった。葉を落とすには「離層」というものが要るのだが、このマンサクやクヌギなどはそれがない(あるいは遅い)ために、葉が枯れてからもしばらく枝から離れないらしい。芽を守っているのだろうと書かれてあったが、なるほどそう見えるし、それは理にかなっているなと思う。

せまい植枡で育った欅の「巻き根」を見て、さっき読んだぞ、これの名前はなんだっけとうなりながら帰る。樹木の勉強一色の一日となった。

著者の岩谷さんは樹木医で、十年以上前に有楽町の講演会に行ったことがある。あのときはまだ植木屋ですらなかったような気がするが、どうだったか。

読みやすい本だった。社長も今年の樹木医試験を受けると言っていたのでおすすめしようか。入門書としてはとてもよいと思った。

夕方の散歩をはさんで、次は土・根・肥料についての本を読む。

樹木をまじまじと見る機会はつくろうとおもえばいくらでもつくれるが、根や土壌内部というのはなかなかお目にかかれないだろう。植木屋はしょっちゅうそれを見るわけだが、正確に見れているかとなると怪しい。土を構成する要素やそれに影響する要素も、樹木の地上部同様にさまざまある。それらをどこまで「見えて」いるか。

実にあいまいな知識をしかもたない今の時点のぼくをよく覚えておきたい。これから解像度がぐんぐんあがっていく、それは学ぶことのいちばんの楽しみだと思うからだ。

本を一冊読めば、世界がひっくりかえる。そんな体験はもうできないと思っていたけれど、そんなことはなかった。きっと、自分次第なのだろう。ぼくはぼくの視界がゆっくりと着実にひろがってゆくのを感じる。それを快いとも感じる。

さて、休憩おわり。読んでいく。