木曜荘

ものかきの日記

2023/04/09

休日。いつもよりすこしゆっくり起きる。

ブログを書いたり、仕事のメールなど済ませて、昼前に家をでる。

八重洲TーBOXさんで開催中の、長野順子さんの個展へ。

今回は『園丁夢記』と題され、「かえるの親方」と呼ばれている園丁のかえるにスポットライトが当てられていて、親方ファンのぼくとしてはもう最高の空間であった。

仕事は好きだがくだらない人間関係にまみれている今だからこそ、親方の純粋で無垢な植物への愛情が、こころを柔らかく解きほぐしてくれるような感覚を覚えた。

ぼくもかえるの親方のように、この世界を植物でうめつぶす計画を立てたい。比喩ではなく、実際に木を植え、そして文学として。

 

会場で先生と合流する。尊敬する二名の先生同士の会話を聞く。なんという幸福な時間だったろうか。日々の疲れはときにたやすく溶けて流れることがある。会話をするうちにぼくの心身はすっかり軽くなった。あらゆることが些事だ。創作の前では。

それから喫茶店に入り、先生とゆっくり話す。原稿のご依頼を先日いただいていたのだが、それについて深く打ち合わせさせていただいた。「自由に書く」というのはもっとも難しく、もっとも楽しいご依頼だと感じた。今書けるものを全力で書こうと思った。

先生の案で、今回の詞華集『蕾』に掲載した「蝶々」の続きのようなものを試みに書いてみようと思った。だめなようならまた別のものを書けばいい。まずは書いてみよう。

 

次のギャラリーへ向かう先生とわかれて、そのあとは曳舟へ。プチパリに本を届けに。

オーナーはちょうど『蕾』を読んでくれているところだった。あれこれ話す。お金がまだ貯まらないからという理由で買えずにいたオーナーの入魂の一作『LePetitParicien』を、金はあとでいいからと譲ってくれた。ぼくとしてはちゃんとお支払してからお迎えしたかったので固辞したが、押し切られた。本を一冊おいて、あらたに一冊もって帰路につく。幸福な一日だった。

 

後輩から電話がかかってきて、明日の仕事の段取りを済ませて、本日は活動終了。眠いし。このあとは前述の本を撫で回しながら、あたらしい作品についてあれこれ考えてみようと思う。何が書けるか楽しみだ。ツケでいただいた本については、また後日ブログでご紹介しようと思う。まあ、これを読んでくださっているかたはたいていご存知のことと思うが。

それでは、おやすみなさい。