木曜荘

ものかきの日記

欅、ひとまず

「欅」一段落

今日も五時に起きて、そこから書いていた。

途中少し寝たり、菖蒲園に散歩にでかけたりして気分転換をはさみつつ、なんとか「欅」を書き終えた。

書き終えるのに数日か数週間は要するだろうと思われた最終章を、今日一日で書き終えられるとはつゆほどにも思っていなかったので、正直驚いているけれど、書ききったという満足感はさらにそのうえをゆく。集中力は何度も切れたし、休日の今日一日を使ってすこしでも進められればそれでいいと思っていた。

 

捨てたおかげで進めた

どうしても最初になんとなくえがいた設計図をもとに書かなくてはいけないという妙な観念に縛られていて、その間はほんとうに筆が進まなかった。どうしてもおなじ箇所で立ち止まってしまうのだった。

あるきっかけを得て、書けないものを無理に書くということは、書きたくないもの、読みたくもないものを書くということじゃないのかという、あたりまえのことに気づき、それを思い切って捨てることにした。捨ててしまえばなんということはない、しがらみは溶けて、書きたいものが堰をきった。それだけのことなのだろうけれど、大きな学びになった。我儘に書くというのはそういうことなのだろう、そのためには自分をも裏切り、捨てていくことが重要になる場面もあるのかもしれない。

とにかく、書けるならそれでいい。

 

骨と肉と

今日書き終えたのは骨。

これから肉をつけたり、削っていく。それから洗って、磨いていく。骨さえ立ってしまえば、あとの仕事は楽しみですらある。文章やその流れからすこし離れて、言葉そのものと向き合う時間になる。骨ではむしろ自分自身と向き合うために、苦しみや痛みのほうがやや目立った。完成までじっくり楽しめたらと思う。

と同時に、製本の費用を貯めなくてはいけない。仕事もすこし落ち着いてきたし、ホームレスになりかけた友人に貸したお金が戻れば、それほど遠い話でもないような気はしている。

とにかく自分でたてた「六月までに形にする」という目標に向けて、今日は大きく前進できた。興奮も冷めてきたし、明日の仕事に備えてそろそろ眠ろうと思うが、こんなときに限ってブログも書きたくなってしまう。まだ興奮しているのかもしれない。

表紙はもう決まっている。楠ができる前から決まっていた。早く本にしてこの手で触れたい。読んでみたい。

 

それから新しくなにを書いていけるのか、書きたいと思うのか、それもいまから楽しみだ。