木曜荘

ものかきの日記

「楠」ご感想まとめ

「楠」を読んでいただいたご感想

 

実は二度繰り返し読ませて頂きました。

私の認識では、連作短編集の形をとってはいても、紛れもなく詩集でした。書かれている言葉の選択と連なり、たしかにある心地よいリズムと韻律。明示された詩の部分以外の散文も、やはり詩なんですよね。驚きでしたが、だからこその穏やかさ、暗くなる部分でさえ歌がある、起伏を抑えて調子を整えて、言葉を選んでいるのだな…と素人ながら感じ入っていました。

とても小さな、目の届く範囲で生き、それを描いているのに、とても大きく深い呼吸が感じられます。樹木を見て聞いて、樹木と共に生き生かされる生活のなんとおおらかなこと。庭木であっても自然の大きさを感じられる描写、文章表現は大技はなくとも私には見事に思えます。

人生と生活、あるいは社会と物事に支配されることなく、自分の人生と時間、生活の手綱をけっして手放さない生き方。その生き方が、自分の言葉と表現を絶対に逸脱しない本作品の成りと重なり、感動的でした。本当に、感動的でした。哀しみに満ちたしあわせだとしても、そのしあわせをどうか手放さずに生きてほしいと願わずにはいられません。私はあくまでもフィクションとして読むと決めていますが、願わずにはいられません。

上っ面で下らない感想でお目汚しにしかなりませんが、お伝えできてホッとしています。たとえ今は書けないとしても、また将来何かお書きになったら、ぜひ読ませて下さいませ。そして何より、少しでも健やかに穏やかに、身の回りの時間が過ぎていかれるよう切にお祈り致します。

(Nさん)

あくまでも詩を集めたもの「詩集」として「楠」をつくった。そこが伝わっていたことがとてもうれしい。
「欅」はそうはいかなくなった部分(ぼく自身の変化)もあったけれど、それはそれでいいのだと思っている。

 

次はTwitter上でいただいたご感想。

一周目を読み終えました。詩を書いている人らしい涼やかな文章です。植木職人としての実体験をもとにしている事から、書かれていることが全て事実なのかしらと思ってしまう。他人から見たら小さな躓きでも、本人にとっては何よりも深刻である姿が見えてきます。

(T先生)

先生からは直にうれしいご感想もお聞かせいただいたけれど、もっと根掘り葉掘りうかがっておけばよかったな、とも思った。おこがましくも目標にしているかたから一文でも褒められれば、それだけですべて報われる気がする。

しかしこれはぼくの悪い癖で、自分の作品の感想を聞くとなんだか恥ずかしくなってしまって、質問を深く掘り下げることができないところがある(臆病者)…。

その点、「欅」では同じ失敗のないようにしようと今から思っている。やはり読んでいただいた感想というものは、どんなものであれたくさん聞いておいたほうがいいようだ。

それは自分の文章が人の眼にどう映るのかを知る、ということに関しては言うまでもないことなのだけど、他の人へむけて自分の作品を説明することの苦手なぼくがそれをしようとしたときに、信頼できる読書家でもあるみなさんのお声というもの、これ以上のものはないだろうとも思うのだ。

 

次はお手紙のなかから抜粋。

 

植物と深く関わりながら、“死”に触れるような、静かな、けれど不安定な“生”を感じました。

(版画家Nさん)

 

マージンが贅沢にとられた、とても読みやすい一冊となっていますネ。目に優しい本です。読むのはこれからなのですが「凛」と「幸之介」の成長物語なのでしょうか。

(出版社Eさん)

 

植物の生のありようを恋するように求めているのは、ぼくの生が不安定だからで、そこを読んでもらえてとてもうれしい。

それから製本に全般的に(徹底的に)かかわっておられる方からいただいた「目に優しい本」との評もうれしい。でもこれには裏があって、ぼくの使っている文字の大きさや間隔、余白などは、どれも先生の本を真似ている。そっくりそのままではないけれど、完全に手本になっている。それは単純に、先生の本がぼくにはもっとも読みやすい本だったからだ。なのでこれは先生の本を褒められた(?)ということで余計にうれしかった。そう言っては失礼な話かもしれないけど。

 

ぼくは、どういう作品ですかと問われて「こういうものです」と明言できないポンコツなので、それなら「こういうふうなご感想をいただいた作品です」と紹介するよりないのではないか、と思うようになった。

なので、ご感想をお聞かせいただいた方々には二重三重に感謝しています。本当にありがとうございます…。

 

読んでいただいた皆様からのご感想はいつでもお待ちしています。ブログのコメントでもTwitterでもDMでもお手紙でも、なんでも構いません、よろこびます。

DMに一言「素敵な本でした!」といただいたのも、とても励みになりました。この場で言うのもおかしな話かもしれませんが、改めて、お読みいただいたみなさまにお礼申し上げます。ありがとうございました。

 

 

苦手意識のつよくある自作の宣伝についても、これから少しづつこうして広げていけたらと思う。どうしてこんなにもむずかしく感じるのだろうか。でも、すこしでも多くの人に読んでいただけるようにと考えるのならば、もっとちゃんとできていなくてはいけないことなんだよなぁ…。がんばろう。今みたいな、発言発信が苦にならない精神状態を保てているうちに、すこしづつでも前進できたらと思うけど、どうなることか。

 

 

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